テレアポでアポイントを取ろうとすると、「どう話せば相手が興味を持ってくれるか」「どんなトークなら断られないか」と考えがちです。
しかし、私はテレアポを続けてきた中で、アポを取る前に大切なのは「話す力」だけではなく、「聴く力」だと感じています。
相手が何に困っているのか。
今、何を考えているのか。
そもそも、何かを変えたいと思っているのか。
こうしたことを聴かずに、一方的に商品の説明をしても、なかなか相手の心は動きません。
テレアポは「商品を説明してアポを取る仕事」ではありません。
相手の状況を聴き、相手自身が「それなら話を聴いてみてもいい」と思える状態をつくる仕事だと私は考えています。
この記事では、私自身がテレアポを実践する中で大切にしている「聴く力」について、具体的な方法を紹介します。
テレアポで「本音を引き出す」とは?
まず、「本音を引き出す」という言葉について考えてみます。
テレアポでいう本音とは、必ずしも相手が最初から話してくれる「困っています」という言葉だけではありません。
例えば、
- 「今は特に困っていません」
- 「間に合っています」
- 「必要ないと思います」
- 「まだ検討していません」
- 「今のやり方で問題ありません」
このような言葉の中にも、相手の状況が隠れています。
大切なのは、無理に本音を言わせることではありません。
相手が安心して話せる状態をつくり、必要なことを少しずつ聴いていくことです。
私は、テレアポにおける「聴く力」を、
相手の言葉を否定せず、相手の状況を理解するために聴く力
だと考えています。
なぜテレアポでは「聴く力」が重要なのか?
テレアポでは、こちらから電話をかけます。
つまり、相手からすると、突然営業の電話がかかってくるわけです。
その状態で、いきなり商品の特徴やメリットを何分も説明されても、
「自分には関係ない」
と思われてしまう可能性があります。
そこで重要になるのが「聴くこと」です。
① 相手の状況を把握できる
相手がどのような仕事をしているのか。
現在どのような方法で業務を行っているのか。
何か困っていることがあるのか。
こうした情報を聴くことで、こちらの話す内容も変わります。
② 相手に「自分のことを理解してくれている」と感じてもらえる
営業電話でありがちな失敗は、
「こちらが伝えたいこと」
ばかりを話してしまうことです。
しかし、相手が求めているのは、自社の商品説明を最後まで聴くことではありません。
「自分たちに関係のある話なのか?」
を知りたいのです。
だからこそ、
説明する前に、まず相手を知る。
この順番が重要です。
③ アポイントの質が高くなる
アポイントは、取れれば何でもいいわけではありません。
商談担当者が、
「このアポは何について話せばいいのだろう?」
という状態では、商談に入りづらくなります。
一方で、
- 誰と話したのか
- どんな業務を担当しているのか
- 現在どのような状況なのか
- 何に関心を持っているのか
- 何を知りたいと思っているのか
まで整理されていれば、商談担当者も話を始めやすくなります。
だから私は、アポ獲得だけではなく、商談につながる情報を聴いておくことを大切にしています。
テレアポで相手の本音を聴く7つの方法
ここからは、実際のコールで使える方法を紹介します。
① いきなり質問攻めにしない
「現在の課題は何ですか?」
「何か困っていますか?」
「今のシステムに不満はありますか?」
このような質問を連続して投げかけると、相手は尋問されているように感じることがあります。
まずは相手の状況を理解するために、自然な会話をつくります。
例えば、
「現在、○○についてご担当されているということでよろしいでしょうか?」
と確認する。
相手が答えてくれたら、
「ありがとうございます。ちなみに、現在はどのような方法で対応されていますか?」
と、一つずつ聴いていきます。
一度に全部聴こうとしないことがポイントです。
② 「なぜですか?」より「どのような状況ですか?」と聴く
「なぜですか?」
という質問は、使い方によっては相手を追及しているように聞こえることがあります。
例えば、
「なぜ今のシステムを使っているんですか?」
よりも、
「現在はどのようなシステムを使われていますか?」
のほうが、相手は答えやすくなります。
そして回答を聴いた後、
「なるほど。ちなみに、その中で何か不便に感じられることはありますか?」
と続けます。
このように、
事実 → 状況 → 困りごと
の順番で聴いていくと、相手の話が自然に深くなっていきます。
③ 「困っていますか?」と決めつけない
営業では、
「○○でお困りではありませんか?」
という質問をよく使います。
もちろん有効な場合もあります。
しかし、相手が「困っていない」と思っている場合、そこで会話が終わってしまうことがあります。
例えば、
「現在、○○についてはどのように対応されていますか?」
と聴いてみる。
すると、
「Excelで管理しています」
という回答が返ってくるかもしれません。
そこから、
「Excelで対応されているんですね。運用される中で、特に手間がかかるところはありますか?」
と聴いていきます。
相手自身が話すことで、本人も気づいていなかった課題が見えてくることがあります。
④ 「今は必要ない」という言葉を否定しない
テレアポでは、
「今は必要ないです」
と言われることがあります。
ここで、
「でも、こういうメリットがあります」
とすぐに切り返すのではなく、
「承知しました。ちなみに、今は特にお困りではないという状況でしょうか?」
と聴いてみます。
すると、
「今は困っていないけど、来年には見直すかもしれない」
という話が出てくる場合があります。
つまり、
「必要ない」=「絶対に興味がない」
とは限りません。
ただし、無理に掘り下げる必要もありません。
相手が明確に「必要ない」と意思表示しているのであれば、その意思を尊重することも大切です。
私は、NOを否定しないことも「聴く力」の一つだと考えています。
⑤ 相手の言葉を繰り返して確認する
相手の話を聴いたら、その内容を一度整理して返してみます。
例えば、
「なるほど。現在は○○を使っていて、特に△△の部分に手間がかかっている、ということですね。」
このように返すことで、
「ちゃんと自分の話を聴いてくれている」
と相手に感じてもらいやすくなります。
さらに、こちらの認識が間違っていれば、相手から修正してもらえます。
「そうです。ただ、そこよりも□□のほうが大きな課題ですね。」
こうなれば、さらに重要な情報を聴くことができます。
聴く → 整理する → 確認する
この繰り返しが、本音に近づくための基本です。
⑥ 「何が課題ですか?」だけではなく「どうなればいいですか?」と聴く
課題を聴くだけではなく、その先も聴いてみます。
例えば、
「今、一番手間がかかっているのはどの部分でしょうか?」
と聴いた後、
「ちなみに、そこが改善されるとしたら、どのような状態になると理想的でしょうか?」
と聴きます。
すると、
「作業時間を減らしたい」
「担当者による差をなくしたい」
「新人でも対応できるようにしたい」
など、相手が求めている状態が見えてきます。
これは商談担当者にとっても非常に重要な情報です。
⑦ 最後は「判断を委ねる」
私は、テレアポでは「相手に判断してもらう」ことを大切にしています。
例えば、
「ここまでのお話を伺う限り、すぐに導入を決めるという段階ではないと思います。ただ、具体的な事例や使い方を一度聴いてみることで、今後の参考になるかもしれません。そういった情報だけでも聴いてみられますか?」
という伝え方です。
ここでは、
「絶対に導入してください」
とは言っていません。
「話を聴く価値があるかどうかを判断してください」
と、判断を相手に委ねています。
私は、この「判断委託」がテレアポでは非常に重要だと考えています。
本音を引き出すために「聴いてはいけないこと」もある
「本音を聴く」といっても、何でも質問すればいいわけではありません。
特に注意したいのが、こちらの仮説を相手に押しつけることです。
例えば、
「御社も人手不足で困っていますよね?」
これは、一見すると質問ですが、実際には「人手不足で困っている」という前提が入っています。
相手が、
「いや、特に困っていません」
となれば、会話が止まります。
それよりも、
「現在、人員体制についてはどのような状況でしょうか?」
と聴く。
相手が、
「特に問題ありません」
と言えば、それも大切な情報です。
相手の答えをこちらの都合のいい方向に変えようとしない。
これが「聴く力」では重要です。
テレアポで「聴く力」を高める3つの習慣
では、どうすれば聴く力を高められるのでしょうか。
私は、特別な研修を受けなくても、日々のコールで鍛えられると考えています。
① コール後に「相手は何を話していたか」を振り返る
アポイントが取れたかどうかだけではなく、
- 相手は何を話していたか
- どんな言葉を使っていたか
- どこで会話が深くなったか
- どの質問に反応したか
- 自分は話しすぎていなかったか
を振り返ります。
これだけでも、次のコールが変わってきます。
② 「自分が話した時間」より「相手が話した内容」を見る
テレアポでは、話すことに意識が向きがちです。
しかし、アポイントにつながったコールを振り返ると、
「自分がうまく説明したから」
ではなく、
「相手の状況を聴けたから」
というケースも多くあります。
だから私は、アポ率だけではなく、
「今日はどれだけ相手の話を聴けたか」
という視点も持っています。
③ 「アポを取るための質問」から「相手を理解する質問」に変える
この違いは非常に大きいです。
「アポを取るために質問する」と、
どう答えてもらえばアポにつながるか?
という発想になります。
一方、
「相手を理解するために質問する」と、
この会社は今、どんな状況なんだろう?
という発想になります。
後者のほうが、自然な会話になりやすいのです。
「聴く力」がアポイントの質を変える
私は、アポイントには「数」と「質」の両方があると考えています。
もちろん、テレアポでは行動量が必要です。
100件架電して、どれだけ接触できたのか。
何件のアポイントにつながったのか。
数字を見ることは大切です。
しかし、アポイントを取った後も重要です。
商談担当者が、
「このアポ、何を話せばいいんだろう?」
となってしまえば、せっかくのアポイントが十分に活かされません。
だからこそ、
- 誰と話したのか
- どんな業務を担当しているのか
- 現在どうしているのか
- どんな課題があるのか
- 何に関心があるのか
- 何を知りたいのか
- なぜ話を聴いてみようと思ったのか
を、できる範囲で整理しておきます。
これが、私が大切にしている「商談に入りやすいアポ」につながります。
詳しくは、こちらの記事でも紹介しています。
「テレアポはアポを取るだけではない|商談に入りやすいアポを作る5つのポイント」

私が考える「本音を引き出すテレアポ」
ここまで読んでいただいた方には、少し意外に感じるかもしれません。
私は、「相手の本音を引き出す」という言葉自体にも、少し注意が必要だと思っています。
なぜなら、
「本音を引き出してやろう」
という気持ちで電話をすると、相手をコントロールしようとしてしまうからです。
そうではなく、
「この方は今、何を考えているんだろう?」
という気持ちで聴く。
相手が「必要ない」と言えば、その言葉を受け止める。
相手が「今は時期ではない」と言えば、その理由を必要に応じて聴く。
相手が「少し話を聴いてみたい」と言えば、なぜそう思ったのかを確認する。
私は、これが本当の意味での「聴く力」だと思っています。
テレアポは「話す仕事」ではなく「聴く仕事」
テレアポというと、
「営業トークがうまい人」
「話し方が上手な人」
がアポイントを取ると思われがちです。
もちろん、話す力も必要です。
しかし、私はそれ以上に、
相手の話を聴く力
が重要だと考えています。
こちらが一方的に話している間、相手の状況は分かりません。
相手の言葉を聴いて初めて、
「この会社には何が必要なのか」
「今はどの段階なのか」
「本当に話を聴く価値があるのか」
が見えてきます。
そして、そこで初めて、
「それでしたら、一度詳しい話を聴いてみませんか?」
という自然な提案ができます。
まとめ|アポを取る前に、まず相手を聴く
今回の記事のポイントをまとめます。
テレアポで相手の本音を聴く7つの方法
- いきなり質問攻めにしない
- 「なぜ?」より「どのような状況?」と聴く
- 「困っていますか?」と決めつけない
- 「今は必要ない」という言葉を否定しない
- 相手の言葉を繰り返して確認する
- 「どうなればいいか」まで聴く
- 最後は相手に判断を委ねる
そして、私が一番大切にしているのは、
アポを取るために聴くのではなく、相手を理解するために聴く。
ということです。
テレアポでは、数字を追うことも大切です。
でも、数字だけを追ってしまうと、相手が見えなくなることがあります。
だからこそ、
数字を追う。でも、数字に追われない。
アポを取る。でも、アポを取ることを目的にしない。
相手の話を丁寧に聴き、必要な情報を整理し、「この人と話してみてもいい」と思っていただく。
その積み重ねが、結果として商談につながるアポイントを生み出すのだと思います。
私はこれからも、1コールを大切にしながら、心を整え、心穏やかに、人のお役に立つコールを追求していきます。
