テレアポでアポイントを獲得できても、商談担当者が「どのような話から始めればよいのか分からない」と感じることがあります。
アポイントの日時や担当者名は分かっていても、相手がどのような状況にあり、何に関心を持ち、なぜ商談を聴いてみようと思ったのかが分からなければ、商談の入り口をつくるのは難しくなります。
では、商談につながるアポイントを獲得するには、どのようなことを聴いておけばよいのでしょうか。
私は、テレアポで大切なのは、質問の数を増やすことではなく、相手の話を丁寧に聴き、商談担当者が次の話を進めやすい情報を整理することだと考えています。
この記事では、テレアポの現場で活用できる質問を7つ紹介します。質問の目的や使い方、相手が答えにくいときの対応まで解説します。
1. 商談につながるテレアポでは「聴くこと」が重要
テレアポの目的は、アポイントを獲得することです。しかし、法人営業では、アポイントの獲得がゴールではありません。
アポイントの先には、商談があり、その先にはお客様の課題解決やサービスの導入があります。
そのため、アポイントを獲得した段階で、相手の状況や関心を可能な範囲で把握しておくことが大切です。
例えば、次の2つの情報共有を比べてみましょう。
情報共有A
「マニュアルに興味があるとのことで、アポイントを獲得しました」
情報共有B
「現在、業務マニュアルは十分に整備されていないとのことです。部門長によって仕事の進め方に差がある一方、現場ごとの工夫や個性は残したいとお話しされていました。そのため、業務の標準化と現場の工夫を両立する方法について、話を聴いてみたいとのことです」
Bの情報があれば、商談担当者は、単にマニュアルの機能を説明するのではなく、業務の標準化と現場の工夫を両立する方法から話を始められます。
もちろん、これは相手から実際に聴けた情報がある場合の例です。確認していない内容を推測で補ってはいけません。
大切なのは、相手の話を聴き、商談に役立つ情報を見つけることです。
2. 商談につながるテレアポの質問7選
ここからは、アポイント獲得後に確認できると役立つ7つの質問を紹介します。
すべての質問を毎回使う必要はありません。相手の反応や会話の流れに合わせて、必要なことを一つずつ聴いていきましょう。
質問1:現在、どのような方法で対応されていますか?
目的:現在の運用状況を把握する
課題や不満をいきなり尋ねると、相手が答えにくい場合があります。まずは、現在どのような方法で業務を進めているのかを聴いてみましょう。
例えば、業務マニュアルのサービスであれば、次のように尋ねます。
「ちなみに、現在、業務の手順やノウハウは、どのような方法で共有されていますか?」
この質問によって、紙のマニュアル、Excel、動画、社内システム、口頭での引き継ぎなど、現在の運用を把握できる可能性があります。
ただし、相手が回答しなかった場合は、無理に深掘りする必要はありません。
ポイント: いきなり改善を提案するのではなく、まず現在の状況を理解することから始めます。
質問2:その業務では、どのようなことが重要になりますか?
目的:相手が大切にしていることを理解する
同じ業務でも、会社によって大切にしていることは異なります。
例えば、業務マニュアルを整備する場合でも、作業の標準化を優先する会社もあれば、現場ごとの工夫を残すことを重視する会社もあります。
「マニュアルを整備するうえで、特に大切にされていることはありますか?」
このように尋ねると、機能や価格だけでは見えてこない、相手の考え方や優先事項を聴けることがあります。
ポイント: 自社サービスの特徴に話を寄せすぎず、相手が大切にしていることを先に理解します。
質問3:現在、何かお困りのことはありますか?
目的:具体的な課題を把握する
商談につながる情報として、現在の困りごとは重要です。
ただし、「課題はありますか?」と尋ねても、相手がすぐに答えられるとは限りません。
その場合は、業務の状況に合わせて質問を具体化します。
例えば、次のような聞き方です。
「担当者によって仕事の進め方が異なることや、新しい方への引き継ぎなどで、お困りになることはありますか?」
ここで大切なのは、こちらが想定した課題を相手に押しつけないことです。
「特に困っていない」と回答された場合は、その言葉を尊重します。課題が確認できなかったのであれば、トスアップにも「課題は未確認」と記載すればよいのです。
ポイント: 課題を無理に見つけるのではなく、相手が実際に感じていることを聴きます。
質問4:その業務は、どの部署や拠点で対応されていますか?
目的:利用する部署や範囲を把握する
法人向けサービスでは、誰が、どこで、何の業務に使うのかによって、商談で確認すべきことが変わります。
例えば、次のように尋ねます。
「今回のお話に関連する業務は、どちらの部署で担当されていますか?」
必要に応じて、次のようなことも確認します。
- 利用を想定している部署
- 対象となる拠点や店舗
- 実際に業務を担当する方
- 利用を検討している人数や範囲
すべてを一度に尋ねる必要はありません。会話の流れに合わせて、商談担当者が知っておくと役立つ情報を確認しましょう。
ポイント: 「会社として興味がある」という情報だけで終わらせず、具体的な利用場面を把握します。
質問5:今回、どのような点を聴いてみたいと思われましたか?
目的:アポイントを受け入れた理由を把握する
私は、この質問を特に大切にしています。
アポイントを獲得できたとしても、相手がなぜ話を聴いてみようと思ったのかが分からなければ、商談担当者は最初の話題を決めにくくなります。
例えば、次のように尋ねます。
「ありがとうございます。ちなみに、今回のお話では、どのような点に関心を持っていただけましたか?」
回答として考えられるのは、次のような内容です。
- サービスの機能を知りたい
- 現在の方法と比較したい
- 費用感を確認したい
- 他社の活用事例を知りたい
- すぐに導入する予定はないが、情報収集したい
どの回答も、商談の入り口を考えるうえで参考になります。
「情報収集」という回答であれば、導入を急かすのではなく、情報提供を中心にした商談が適しているかもしれません。
ポイント: アポイントを獲得できた事実だけでなく、相手が話を聴いてみようと思った理由を確認します。
質問6:今後、改善や見直しを考えるとしたら、どのような点でしょうか?
目的:今後の検討テーマや方向性を把握する
現在、明確な課題がなくても、将来的に見直しを考えている場合があります。
例えば、次のように尋ねます。
「今後、業務の進め方を見直すとしたら、どのような点が候補になりそうでしょうか?」
この質問は、相手が将来の改善について話してくれそうな場合に使います。
まだ見直す予定がない相手に、無理に答えを求める必要はありません。
また、改善時期が商談に関係する場合は、相手の負担にならない範囲で、検討時期について確認してもよいでしょう。
ポイント: 現在の課題だけでなく、今後の検討可能性も把握します。ただし、相手が話していない導入意欲や時期を推測で記載してはいけません。
質問7:当日は、どのような情報があると参考になりそうですか?
目的:商談担当者が準備する内容のヒントを得る
最後は、商談当日にどのような情報が役立ちそうかを確認します。
例えば、次のように尋ねます。
「当日は、どのような情報をご紹介できると参考になりそうでしょうか?」
相手によっては、次のような希望が出てくることがあります。
- 同業他社の導入事例
- サービスの具体的な機能
- 費用や料金体系
- 導入までの流れ
- 現在の方法との違い
この情報を事前に共有できれば、商談担当者は相手の関心に合わせて準備しやすくなります。
ただし、相手が具体的に希望を示さなかった場合は、「当日の関心事項は未確認」として構いません。
ポイント: 商談担当者が準備しやすい情報を聴き、相手にとっても有意義な時間になるようにします。
3. 質問は7つすべて使わなくてもよい
ここまで7つの質問を紹介しましたが、毎回すべてを尋ねる必要はありません。
テレアポでは、限られた時間のなかで、相手の負担にも配慮しながら会話を進めることが大切です。
質問を増やしすぎると、相手が尋問されているように感じたり、アポイントを獲得するまでの会話が長くなったりすることもあります。
まずは、次の3つを意識してみてください。
- 現在の状況を聴く
- 相手が関心を持った理由を聴く
- 商談で知りたいことを聴く
この3つが分かるだけでも、商談担当者に渡せる情報の質は変わります。
もちろん、相手が忙しそうな場合や、質問に答えることを望んでいない場合は、無理に聴き出さないことが重要です。
質問の数よりも、相手の言葉を正確に理解することを優先しましょう。
4. 相手が答えにくそうなときは、どう対応する?
質問をしても、相手がすぐに答えてくれるとは限りません。
「特にありません」
「まだ検討していません」
「今は情報収集の段階です」
このような回答を受けたとき、無理に課題を引き出そうとする必要はありません。
例えば、相手が「まだ検討していません」と話した場合は、次のように返すことができます。
「承知しました。現時点では情報収集という段階なのですね。ありがとうございます」
そのうえで、相手が話を続けてくれそうであれば、関心のある情報を一つだけ確認します。
「ちなみに、情報収集されるなかで、特に知っておきたいことはありますか?」
それでも回答がなければ、それ以上は深掘りせず、分かったことだけを共有します。
私は、テレアポでは、相手から「NO」をいただくことも含めて、相手の意思を尊重することが大切だと考えています。
相手の意思を尊重しながら、比較のために話を聴いてみようと思っていただけるのであれば、それも一つの有意義なアポイントです。
ただし、相手が明確に断っている場合は、その意思を尊重しましょう。
5. 聴いた情報を、商談担当者にどう伝えるか
質問をして情報を得ても、商談担当者に正しく共有できなければ、十分に活かすことはできません。
私は、トスアップでは次の5項目を整理することが重要だと考えています。
| 項目 | 共有する内容 |
|---|---|
| ① 相手の情報 | 部署・役職・担当業務 |
| ② 現在の状況 | 使用しているシステム、業務の進め方など |
| ③ 課題や関心 | 相手が実際に話した困りごと、関心事項 |
| ④ アポイントの理由 | なぜ今回、話を聴いてみようと思ったのか |
| ⑤ 商談で知りたいこと | 機能、費用、事例、比較情報など |
ここで特に重要なのが、相手が話した事実と、自分の推測を分けることです。
例えば、相手が「現在のシステムを使い続ける予定です」と話しているのであれば、「システムの切り替えを検討中」と記載してはいけません。
また、相手が課題について話していない場合は、「課題は未確認」と記載します。
「情報収集の段階」「比較検討の意向あり」「導入時期は未確認」のように、確認できた範囲で正確に共有しましょう。
この積み重ねが、商談担当者からの信頼につながります。
6. 商談に入りやすいアポを作るために大切なこと
私は、アポイントを獲得することと、商談に入りやすいアポイントを作ることは、同じではないと考えています。
アポイントの件数を増やすことは大切です。しかし、件数だけを追いかけてしまうと、相手の状況を十分に把握しないまま、アポイントの獲得を優先してしまうことがあります。
そこで大切にしたいのが、次の流れです。
相手の話を聴く
↓
相手の状況や関心を理解する
↓
商談に役立つ情報を整理する
↓
商談担当者に正確に共有する
この流れを意識すれば、アポイントを獲得した後の仕事にも目を向けられます。
商談担当者が「この会社には、まずこの話から始めよう」と考えられるようにすること。それが、トスアップの価値の一つです。
商談に入りやすいアポを作るための考え方や実践ポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:テレアポはアポを取るだけではない|商談に入りやすいアポを作る5つのポイント

7. テレアポの情報共有を効率化するなら、記録の仕組みも大切
相手の話を丁寧に聴いても、記録や共有に時間がかかりすぎると、架電や次の対応に影響します。
そのため、質問の仕方を工夫するだけでなく、聴いた情報を記録し、必要な担当者へ共有しやすい仕組みを整えることも重要です。
例えば、次のような項目を記録できるようにしておくと、情報を整理しやすくなります。
- 相手の部署・役職
- 現在の運用方法
- 相手が話した課題や関心
- アポイントを受け入れた理由
- 商談で知りたいこと
- 未確認事項
こうした情報を一定の形式で管理できれば、担当者による共有内容のばらつきを抑えやすくなります。
テレアポの記録やリスト管理、架電結果の管理を効率化したい場合は、テレアポ管理ツールや架電システムを活用する方法もあります。
ただし、ツールを導入するだけでトスアップの質が高まるわけではありません。まずは、何を聴き、何を記録し、誰に共有するのかを明確にすることが先です。
関連記事:テレアポ管理ツールとは?架電・リスト・結果管理を効率化する方法

まとめ|「聴く力」が商談につながるアポイントをつくる
商談につながるテレアポでは、アポイントを獲得することだけでなく、相手の状況や関心を理解し、商談担当者に正確に共有することが大切です。
今回紹介した7つの質問を、あらためて整理します。
- 現在、どのような方法で対応されていますか?
- その業務では、どのようなことが重要になりますか?
- 現在、何かお困りのことはありますか?
- その業務は、どの部署や拠点で対応されていますか?
- 今回、どのような点を聴いてみたいと思われましたか?
- 今後、改善や見直しを考えるとしたら、どのような点でしょうか?
- 当日は、どのような情報があると参考になりそうですか?
すべてを一度に尋ねる必要はありません。相手の状況や会話の流れに合わせて、必要なことを丁寧に聴いていきましょう。
そして、確認できた事実と未確認の情報を区別し、商談担当者が次の話を進めやすい形で共有することが重要です。
私は、テレアポを単にアポイントを獲得する仕事だとは考えていません。
相手の話を聴き、相手の状況を理解し、次の担当者へつなぐ。
その一つひとつの積み重ねが、商談の質を高め、お客様のお役に立つことにつながると考えています。
数字を追いながらも、目の前の一人のお客様を大切にする。
これからも、1コールを大切にしながら、商談につながるアポイントを追求していきます。
